不動産の価格は
「効用」「希少性」「有効需要」の
3つを組み合わせたときに生じる、
経済的な価値を表すものであるという
不動産鑑定評価基準の考え方を前回ご説明しました。
ただ、必ずしも「不動産鑑定評価=不動産の売れる価格」
ではないことも、前回お伝えした通りです。
「効用」とは、どれくらい役に立つのか。
「希少性」とは、どれくらい不足しているか。
「有効需要」とは、欲しがる人がどれくらいいるか。
不動産の価格を示すこれら3つは、
外部の要因によって変化し、
不動産価格にも影響を与えます。
具体的に、どんなことが不動産価格に影響を及ぼすのかを、
今回も不動産鑑定評価基準の考え方に則して確認していきましょう。
◆一般的要因
世界情勢、政治、経済の状態や、
人口動態や社会動態、気候、法制度など、
国全体の不動産に共通するマクロ的な要因を指します。
この一般要因は、「自然的要因」
「社会的要因」「経済的要因」「行政的要因」の
4つにわけることができます。
・自然的要因
地質や地盤、地理的な位置関係など、
土地本来の機能に影響を与える要因のこと。
・社会的要因
人口の増減や家族構成の変化、教育・
社会福祉の状態など、社会的な事象による要因のこと。
・経済的要因
財政状態や金融、税負担、賃金や雇用など、
経済情勢の変化による要因のこと。
・行政的要因
土地利用に関する計画や法規制、住宅政策、
税制など、行政の規制等による要因のこと。
この分類からわかるように、一般的要因では、
不動産価格を算出しようとしている時点の、
世の中の経済的、社会的な情勢が問題となります。
◆地域要因
地方自治体などで制定した条例や要綱、
都市計画や交通整備計画等、
その不動産があるエリアにおける
特定の事情に起因する要因のことです。
ただし、その不動産が「住宅地域」なのか、
「商業地域」なのか、「工業地域」なのかによって、
同じ要因でも価格に影響を与える度合いが異なります。
例えば、居住を目的にしているのであれば、
街路の幅員や、商業施設の配置の状態、
都心からのアクセス状態などが、
不動産の価格に影響を及ぼします。
簡単に言うと、
不動産の立地条件やエリアの人気度を示すもの。
土地開発や交通インフラの拡張などにより、
不動産の価格も変動します。
◆個別的要因
土地の形状や接道、建物の築年数や面積・
管理維持の状態など、その不動産特有の要因のことです。
地域的要因で算出された価格水準に、
さらに浮き沈みを与えるのが、個別的要因です。
例えば、宅地であれば、
角地や二方路地などでは価格が上がりますが、
袋地やセットバックが必要な場合は
価格が下がるかもしれません。
建物であれば、築年数のほか、間取り、設備、
仕様、面積、材質、維持状態などが価格の増減に影響します。
ここまで2回にわたってご説明してきたように、
不動産の価格はいろいろな要因によって変動します。
細かく把握する必要はありませんが、
不動産会社から提示される査定額にどのような
要因が含まれているかがわかれば、
ご自身の不動産の価格が妥当かどうかも
理解できるのではないでしょうか。
不動産会社が見落としている不動産の
魅力を伝えれば、査定額のアップにつながるかもしれません。